2005年 12月 21日
ヘヴィなネット回遊人種ではないのだが、定期的に訪れていたブログに「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」があった。多くのファンを持つ古参ブログであり、遠慮会釈ない(笑)文章と鋭敏な切り口は極めて興味深く、更新を楽しみにしていたのだが、「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」が置かれていた無料ブログサービスのチャンネル北国tvによって更新停止に追い込まれてしまったらしい。 やはり愛読している「旗旗」などによると、同じく北国チャンネルtvにブログを置くピアノ弾き氏の記した愚にもつかぬ「日本、嫌い?」という駄文に噛み付いてトラバを送ったのが原因なのだとか。 ピアノ弾き氏の文章と、それに噛み付いた「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」の批判文は双方のブログから既に抹消されているが、「阿修羅」に残っているものを読めばピアニスト氏のヌルさ極まる甘えたプチナショナリズムぶりには唖然とするし、まったく「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」の批判は真っ当。 しかし、人気ブログとしてチャンネル北国tvのトップページにも掲載されるほどの「売れっ子」らしい(それが既に信じられないのだが)ためか、チャンネル北国tvは「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」の更新を強制停止するという暴挙に出たのだとか。 事実とするなら、なんというケツの穴の小さい話か。いやそれより、マトモな神経で両ブログを比べれば、圧倒的にピアノ弾き氏などの駄文より「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」の方が面白く、よほど世のためにもなると思うのだが・・・。 にしても、ブログに駄文をさらしている以上、批判されるのは当然。イヤだったらトラバやコメントなど削除すればいいだけの話。こんなことで「反米嫌日戦線LIVE and LET DIE」という優れたブログが読めなくなると思うと暗鬱で悲しい。 #
by tikatusin
| 2005-12-21 13:37
| 罵詈讒謗
2005年 12月 21日
先に指摘した韓国ソウル大の黄禹錫教授チームによるクローン技術研究をめぐる騒ぎが凄いことになってきた。185個の卵子にヒトの皮膚細胞を移植して11個の胚性幹細胞(ES細胞)をつくるのに成功し、世界を驚かせた米科学誌サイエンス(5月号)の論文が「でっち上げ」だった可能性が濃厚になったというのである。 そればかりではない。クローン技術を使って世界で初めてヒトの体細胞と同じDNAを持つES細胞をつくったとされる昨年2月の黄教授チームの同誌論文にまで捏造疑惑が持ち上がっているのだ。韓国初となる科学分野でのノーベル賞受賞に最も近いとして韓国民の期待を一身に背負っていた黄教授の研究に突きつけられた疑惑が事実ならば、黄教授はもはや韓国民を欺いた希代の詐欺師といってもよい。韓国政府までもが全面支援の態勢を取っていたのだから。 まあ、このあたりは日本のメディアも報じているし、真相はソウル大などが実施している調査結果を待たねばならない。それよりも今回触れたいのは疑惑発覚に大きく寄与したメディア報道について、である。 一連の黄教授チームの研究をめぐる捏造疑惑発覚の原動力は、韓国MBCテレビによる調査報道だった。 「PD手帳」と題するその番組は、社会的問題になっているテーマを追跡し、調査報道で実態に迫るという手法が売り物の情報番組だ。少々乱暴なつくりが気になることもあるのだが、今回の疑惑のすべての発火点は「PD手帳」による黄教授の研究に関する「倫理問題」の疑問提起だった。 黄教授チームのES細胞研究は女性からの卵子提供が大前提となる。以前に触れた通り、生命の原点ともいうべき卵子を使用し、女性の体に負担を強い、クローン人間誕生にもつながりかねない研究には極めて高度な倫理が求められるが、実は黄教授チームの研究に使用された卵子提供女性の一部には「報奨金」が支払われ、研究チームの女性研究員までが提供者に加わっていたのである。これをスッパ抜いたのが「PD手帳」だった。 だが、ノーベル賞への期待に加えて黄教授の研究が将来の基幹産業に育つとの思惑などもあり、熱狂的に黄教授を支持する世論はMBC報道を「国益に反する」と猛批判。「PD手帳」の取材過程で脅迫まがいの言動があったことも伝えられたことからMBCは四面楚歌となってしまった。 「PD手帳」はさらに黄教授の研究自体への疑問を突きつけて追撃しようとしたが、世論の反発を受けて番組のスポンサーは次々降板。MBCは「会社創設以来で最大の危機」とまで伝えられる状態に陥ってしまったのである。 結局は黄教授の共同研究者が仲間割れ(?)を起こして捏造疑惑を突如告発したため今回の騒ぎに至ったわけだが、MBC「PD手帳」の果敢な調査報道がなければ、今も「疑惑」は表面化していなかった可能性が強い。そういう意味でMBC報道の果たした役割は限りなく大きい。 記憶によれば、「PD手帳」は問題の告発番組で「真実を我々の手できちんと明らかにすることこそ『国益』になる」というようなことを訴えていた。その通りだ。取材手法や番組の姿勢に若干の問題点があるのは否定できないが、世の大勢に抗って敢然と問題を指摘したMBCの佇まいこそジャーナリズムの立ち位置を教えてくれている。MBC、ガンバレ!である。 #
by tikatusin
| 2005-12-21 00:45
| KOREA
2005年 12月 05日
はや師走。超多忙のため更新が滞った間に気になったニュースから。 あまり日本では報じられていないが、お隣の韓国では今、2つの話題でもちきりだ。1つは本ブログでも以前取り上げたソウル大・黄禹錫教授チームのクローン技術研究をめぐる「倫理問題」。もう1つは情報機関の国家情報院による「不法盗聴事件」である。 前者はMBCテレビが研究をめぐる倫理的問題点を調査報道で指摘し、黄教授を支持するネット勢力によるMBC批判が沸騰、盧武鉉大統領までがネット世論に自制を求める騒ぎが沸き起こった。ところが今度はそのMBCの取材方法に「倫理問題」があった疑いが浮上し、現在は報道の有り様をめぐる議論にまで発展している。実に興味深いのだが、これはまたの機会に触れるとして、今回は後者の不法盗聴問題について。 これも以前に本ブログで触れたことがあるが、問題の発端は国家情報院の前身、国家安全企画部(安企部)が金泳三政権期に極秘運営した不法盗聴組織による盗聴資料の流出事件だった。 韓国メディアが「Xファイル」と呼ぶ資料には最大財閥・サムスングループ幹部と保守系有力紙・中央日報の社長が違法政治献金を謀議する会話内容が盛り込まれていたため大騒ぎになったが、これが金大中政権に飛び火。盗聴組織が継続して暗躍していた疑いが浮上し、検察は金大中政権で国家情報院長を務めた2人を逮捕・起訴したのである。 検察によれば、金大中政権下での国家情報院の盗聴も広範囲で、盗聴担当の「科学保安局=第8局」が24時間態勢で稼働。盗聴対象は与野党の有力政治家はおろか閣僚、KBSテレビ社長や東亜日報社長らメディア幹部の電話にまで及び、2人の元院長も盗聴結果の報告を受けていたと起訴状には記されている。 さて、言うまでもなく金大中氏といえば朴正煕ー全斗煥と連なる軍事政権下における民主化運動の闘士である。朴正煕政権期には安企部と国家情報院の前身である韓国中央情報部(KCIA)によって東京で拉致され、九死に一生を得たこともある。いわばKCIAー安企部は金大中氏にとって敵そのものだった。 現実に金大中氏は大統領就任後、情報機関の不法行為根絶を訴え、安企部を組織改革して国家情報院として再出発させている。その金大中政権ですら組織的な不法盗聴が継続されていたというのだから波紋を呼ぶのは当然だろう。 もちろん、「人権大統領の名声失墜」(11月17日付『産経新聞』)などとはしゃぐのは論外。軍事政権下で「泣く子も黙る」と評されるほど暗躍し、超法規的な権力の核心として盗聴どころではない悪逆非道の限りを尽くしたのがKCIAー安企部であり、金泳三政権期に比べても金大中政権期の盗聴は小規模だったはずだ。 実際、保守野党ハンナラ党が金大中政権期の盗聴に関して国家賠償訴訟を起こす方針を示すと、超保守新聞として知られる朝鮮日報ですら「ハンナラ党が与党だった当時の安企部の違法盗聴は金大中政権よりもひどかった」とし、ハンナラ党の主張を「寝言」と一蹴している。普段は愚にもつかないクソ保守論調を振りまく朝鮮日報もたまにはマトモなことを書く(笑)。 それはともかく、今のところ逮捕・起訴された2人の元院長は容疑を否認し、金大中氏も検察捜査は不当だとの考えを示している。客観的には、軍事政権下でやりたい放題だった情報機関のが金泳三〜金大中という民主政権に移行する中で徐々に遵法化してきたが、盗聴は惰性・慣性的に続いていたと見るのが妥当なところだろう。 だがしかし、とも思う。惰性や慣習で続いていたというにはいかにも規模が大きい。当たり前の話といえばそうなのだが、やはり金大中政権だろうがなんだろうが、情報機関なるものが強大な組織機構を維持していれば、厚い闇のベールの向こうでこうした不法行為は途絶えることなく繰り広げられるのである。いわば盗聴やら何やらといった不法行為は、強大な情報機関なるものが抱える宿痾なのだ。 情報機関などが権勢を誇っている国がロクでもないのは洋の東西、思想の左右を問わない。日本でも相変わらず「力のある情報機関の創設を」などという論議が途絶えることなく溢れ出ているが(例えばこうした本やこうした本等々)、今の自民党政権下などで「力のある情報機関」などが現出したら、薄ら寒い風景が広がるのは間違いない。 #
by tikatusin
| 2005-12-05 17:20
| KOREA
2005年 11月 18日
爆笑。いかに日本のマスコミが病んでいるか、実によく分かる良著。 著者は日本経済新聞の経済部などで長く活躍した記者。鶴田卓彦という腐りきったトップの愚行と不正を現役部長として勇敢にも告発し、いったんは懲戒解雇処分を受けたものの裁判闘争で撤回させた猛者だ。 本書からは、鶴田という田舎者の小さな「独裁者」が「大手マスコミ」の中でデカイ顔をして跋扈し、10年もトップの座に君臨し、愛人の経営する高級クラブに入り浸り、にもかかわらず周辺の茶坊主どもはひたすら胡麻を擦るだけという絶望的な「言論機関」の姿が浮かび上がる。「ジャーナリズム」を掲げて社会を律しようとするものが、自らのアタマの蠅も追えぬ滑稽は、日経に限らぬのだろう。 にしても、もっとも笑ってしまったのは以下の部分。 日経新聞の図書室も『噂の真相』は取っていて閲覧できるのだが、『噂の真相』と『選択』の2誌だけは資料室の担当者に申し入れないと読めないことになっていた。表向きは「自由に閲覧されると盗まれる」との理由だったが、社内では「誰が読むのかチェックするためだ」と陰口を叩く者もいた。(242ページ) 自由に閲覧されると盗まれるって一体…(苦笑)。もちろん「誰が読むのかチェックするためだ」という方が「正解」なのだろうが、「言論機関」の資料室で言論に制限が加えられているのだから、これこそまさにビョーキだろう。日経社員はこういうことに誰も文句を言わぬのか。(講談社、1890円) #
by tikatusin
| 2005-11-18 11:29
| 書評
2005年 11月 01日
反フェミ・靖国大好きの狂信的オボッちゃまが官房長官、植民地の血を吸って太った財閥の下品さ溢れる末裔が外相。ただただ薄ら寒く見える青き秋の空。 「下山事件 最後の証言」(柴田哲孝) 抜群に面白い。事件に深く関与したとみられる「亜細亜産業」。ナゾの貿易会社に籍を置いたのが著者の祖父。そして叔父や叔母、あるいは母の口から飛び出す下山事件と祖父を取り巻く人物たちの「点と線」ー。中でも「亜細亜産業」総帥だった矢板玄との「単独会見」のやり取りなどは圧巻だ。 事件について「ほぼその全容を解明できたと確信している」(第5章)というのが実際のところどうなのか、「下山病患者」でない私には図りかねるが、下手なサスペンス小説よりよほどスリリング。事件はやはり、満鉄や軍閥、右翼、左翼、GHQ、CIA、そして戦後の自民党政権と米国等々をつなぐ線が交錯する中で真相が闇に葬られていったのだろうと深く納得する。ただ、やはり「下山病患者」でない読者の立場からいえば、事件をめぐるあまりに細かな「復習」部分には少々辟易したのも事実(「下山病患者」にとっては重要なのだろうが)。しかしそれでも実に面白く、一読の価値ある一冊。(祥伝社、2100円) 「噂の女」(神林広恵) 昨年4月に「黒字休刊」に踏み切った『噂の真相』で16年間活躍した「女性デスク」による「ウワシン戦記」。これも抜群に面白い。先に紹介した編集長、岡留安則氏による「『噂の真相』25年戦記」(集英社新書)よりも現場の生々しい様子が描かれて読ませる。バブル真っ盛りのころに短大を卒業して損保会社、広告制作会社などに務めていたノンポリの女性。それがウワシン入りし、戸惑いながらもスキャンダル編集者として立派に育っていく(?)姿には興味シンシン。その果てに東京地検特捜部による極めて不当な「報復捜査」を受け、名誉毀損で前科者(執行猶予中)にさせられてしまうわけだが、限りないノーテンキぶりを発揮する岡留編集長とは対照的に、こんなに悩んで傷ついていたこと初めて知った(笑)。にしても日本の司法は絶望的に病んでいる、とあらためて思わせる。それに和久峻三って、なんてイヤなヤツ!(笑)。で、ウワシンってやっぱ面白かったなぁとあらためて実感。(幻冬舎、1500円) 「大仏崩壊 バーミヤン遺跡はなぜ破壊されたのか」(高木徹) NHKの現役ディレクターにして「戦争広告代理店」(講談社)で評判を呼んだ著者の新作。民衆の期待を背負って登場したアフガニスタンのタリバン政権がアルカイダに“浸食”され、異様な政体へと変質していく様が「大仏破壊」を軸に興味深く描かれている。関係者への丁寧な直接取材を基にしており、大手メディアの報道では伺えなかったタリバン政権とアルカイダの関係が鮮やかに浮かぶが、最大の「悪役」であるオサマ・ビンラディンを極単純な「悪役」に描いて疑いすらもっていないようなのはどうしたことか。他の人物の人間像が一定程度浮かぶのに比して、ビンラディンに関しては全く人間像が描かれない。ビンラディンという怪物がなぜ生まれたのか、米国等々との悪縁もほとんど触れられない。意図的なのか、意図せざるものなのかは不明だが、肝心な部分を避けて漂流している感が拭えない。しかしそれでも読み物としては面白く、アフガニスタンという国で何が起きたかをおさらいするには一興か。(文藝春秋、1650円) #
by tikatusin
| 2005-11-01 10:54
| 書評
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