地下通信 [chika-tsûshin]

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2005年 02月 25日

千葉が北朝鮮になる

c0062756_15442871.jpg いやあ、爆笑した。というか、こいつはやはり心の底からバカだと思った。
 NHK衛星放送を見ていたら、きょう告示された千葉県知事選に出馬したという森田健作が初遊説でこんなことを言ってたのである。

 「重要なのは治安だ。そのために治安担当の副知事を新設します!。そして警察OBや消防団、警備会社などと連携し、『千葉保安隊』を結成します!!」

 お前はヒトラーかっての。ゲシュタポ部隊でもつくろうっていうのかっての。それともウルトラマンの見過ぎか?(笑)。

 しかしこのバカ、そもそも「千葉保安隊」なるものを一体どんな法的根拠に基づいて結成するつもりで、いったい何をさせるつもりなのか。県知事が警察OBやら警備会社やらを動員し、「治安維持」にあたる組織をつくるなど、「司法」「警察権力」というもののなんたるかを理解して言ってるのだろうか。それとも警察任務の「一部民営化」などという途轍もない妄想でも抱いているのだろうか…。
 いや、このバカがそこまで考えてモノを言ってるとは思えないが(思っていれば心底怖いが)、それでも笑ってばかりもいられない。
 メディア報道によれば、何とこの元アホタレントを「首都連合」をもくろむ東京の石原慎太郎、埼玉の上田清司、神奈川の松沢成文も積極支持しているのだという。
 で、ちなみに森田の「教育観」はこんな具合なんだとか。

 「男と女は差別してはいけない。でも区別しないとならない。家庭を愛し、誇りの持てる日本人を育む必要がある」(2月8日の出馬会見)

 誇りの持てる日本人を育む。治安を重視し、専門の副知事を新設する。そして治安維持のため「千葉保安隊」を設立するー。こんなバカが当選すれば、千葉は北朝鮮になる(笑)。
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by tikatusin | 2005-02-25 00:19 | 罵詈讒謗
2005年 02月 20日

イラクの絶望

 過去の新聞スクラップをしながら目にした記事。読売新聞(2004年12月23日付朝刊)の国際面だ。いい原稿だなと思うと同時に、何ともやるせない気持ちにもなった。全文を引用させてもらう。

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 国際的な人道支援NGO(民間活動団体)「ケア・インターナショナル」のイラク代表、マーガレット・ハッサンさん(59)のお別れ会が今月11日、ロンドンのウエストミンスター大聖堂でしめやかに行われた。「よりによって、なぜ彼女がー」。友人ら集まった約二千人の心中には、こうした思いがよぎっただろう。
 「マーガレットほど、イラク人のために行動した人はいないのに」。ハッサンさんの十年来の友人で、イラクでの取材経験が長い、英国人フリーランス記者のフェリシティ・アーバスノットさん(63)は悔やみきれない。
 ハッサンさんについてバグダッドのスラム街を回った時のこと。汚水が腐り、強烈な異臭が漂う古い建物の陰から、ハッサンさんの姿を見かけ、大勢の貧しげな子供たちが現れた。「マダム・マーガレット!」「ママ!」。子供たちは口々に叫びながらハッサンさんに抱きつき、離れようとしなかった。
 「ケア」は、国連の対イラク経済制裁が九〇年に発動された後もイラク国内で継続的に人道支援活動を続けた唯一のNGOだった。ハッサンさんは、イラク人スタッフ約六十人を率い、スラム街での医療施設建設やきれいな水の提供に心血を注いだ。「ケア」の資金拠出で作った水道施設は、多数のイラク人を潤した。
 国連の経済制裁には、「イラクの人々を苦しめるだけ」と一貫して批判的だった。昨年三月の対イラク開戦直前には、英議会での公聴会で、「すでに劣悪な状態にあるイラクの庶民は、新たな戦争には耐えられない」と開戦反対を訴えた。開戦後、欧米人の大半がイラクを去る中、ハッサンさんはイラクにとどまり、地道な援助活動を続けた。
 アイルランドで生まれ、幼いころロンドンに移り住んだ。二十代前半はベイルートで難民支援活動に没頭。帰国後、ロンドンで航空技術を学んでいたイラク人男性と知り合い結婚、七二年にイラクに移った。
 ケアの現地代表となったのは九一年。すでに流暢なアラビア語も体得していた。以来、寝食を忘れるようにバグダッドのスラム街を回り、「イラクのマザーテレサ」とも呼ばれた。
 イラク戦争後、武装集団が援助関係者を狙うようになってもハッサンさんは危険地区に出向くのを止めなかった。周囲の説得で護衛だけは雇ったが、「イラク人がイラク人を撃つのか」と銃を持たせなかった。
 そして十月十九日。いつものように朝七時半、バグダッド市内の自宅を出たハッサンさんが事務所に着くことはなかった。途中、車が何者かに襲われ、拉致されたのだ。
 ハッサンさんの援助を受けたイラク人も解放運動に奔走した。バグダッド市内に集まり、「ママを返して」と訴えた。「マーガレットはイラクの娘。(多国籍軍の)占領にも反対しています」とのポスターが掲げられ、犯人グループに開放を訴えた。しかし、ほぼ一カ月後、ハッサンさんとみられる女性が射殺される様子をおさめたビデオが届いた。正視できないという夫の代わりにビデオを見た弟妹がハッサンさんだと確認した。
 なぜ援助関係者なのか。しかも、なぜ開戦に声高に反対したハッサンさんなのか。犯人は捕まっておらず、動機も背景も分からない。
 「イラクの失われた世代(子供たち)に普通の平和な生活を」ー。イラク戦後の混乱の中に消えたハッサンさんの思いがかなう日はいつ来るのだろうか。(ロンドン 飯塚恵子)
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by tikatusin | 2005-02-20 22:27 | メディア
2005年 02月 15日

書評=「噂の真相」25年戦記(岡留安則)

c0062756_169524.jpg ご存じ、昨年4月をもって惜しまれながら異例の黒字休刊に踏み切った月刊誌「噂の真相」編集長による同誌の“闘争史”である。多くはこれまで著者の岡留安則氏が「噂真」本誌や別冊で記したり、さまざまな媒体を通じて明らかにしてきたことの「おさらい」という感じではあるが、それでも(恐らくは)初めて明かされるエピソードも数々ちりばめられており、「噂真」ファンはもちろんのこと、「噂真」を手に取ったことのある人はすべからく一読に値する一冊となっている。

 それにしても、最近の絶望的な日本のメディア状況を眺め見れば、本著を読んであらためて同誌の休刊が惜しまれる。もちろん、タイトルに「25年戦記」とある通り、一つの雑誌を25年間も編集長として支え続けた著者の努力と熱情を思えば、そろそろノンビリと、という気持ちも痛いほど分かる。むしろ、若い世代から同誌の志を継承するような試みが生まれるべきなのであろう。
 そうした「次世代」に属する者としては、現在の時代状況と正面から向かい合うメディアと言論を我々が創出しなければならない、との義務感にもさいなまれる。

 それでも、である。沖縄を拠点に「スローライフ」な生活に入った著者が長らく「スロー」に浸って満足する精神状態を維持できるとは思えない。充分な充電を済ませたら、「義務感」を抱える「次世代」をアジテーションし、糾合し、第2期「噂真」を再構築して闘争の場へと復帰して欲しいと「噂真」風文体で訴えておこう(笑)。心から期待してます。(集英社新書、735円)
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by tikatusin | 2005-02-15 16:57 | 書評
2005年 02月 10日

書評=戦争が遺した物〜鶴見俊輔に戦後世代が聞く(鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二)

c0062756_1610343.jpg 戦後を代表する良心派知識人・鶴見俊輔とフェミニズムの大御所・上野千鶴子、気鋭の新進学者・小熊英二による鼎談集。いや、正確には「鼎談」ではなく、副題にある通り上野と小熊の質問に答える形で鶴見が思想と人生観を語る形式の対談集である。
 読み進むうちにフェミン分野に関する上野の過剰すぎる反応とツッコミに一瞬不快感を感じた場面もあったが、対談集にありがちなだらけたムードもなく、愉快に、ユーモアも交え、しかし含蓄あふれた言葉をかみしめつつ気持ちよく読了することができた。お薦めの一冊。

 鶴見に関してはさまざまな評価もあったろうが、本書から表れる姿勢はシンプルかつ率直。政治家でもあった自身の父親を「一番病の知識人」と評し、その罪と弊害を指弾する鶴見は「一番病」の典型集団として「東大新人会」を挙げて痛烈にこう皮肉る。
 
新人会は大正デモクラシーの時代に、吉野作造の民本主義を支持してできたんだ。だけどその後にマルクス主義が流行ったら、民本主義なんかなまぬるい、これからはマルクス主義だというわけで、「吉野のデモ作」とか悪口を言って、共産主義にのりかえちゃった。ところがその連中が、1930年代に弾圧を受けて転向すると、こんどは社会主義なんか古臭い、これからは高度国防国家だとかいって、早々にのりかえるんだよ。

 東大新人会といえば、典型的な転向「知識人」のマスコミ権力者に「新人会再建」を訴えた馬鹿がいたなぁなどと苦笑しつつ激しく納得したが、さらに鶴見は「学者だって同じだよ」と言い、「一番病」の弊害を解説する。
 
ヨーロッパやアメリカにモデルがあって、右顧左眄しながら、その学習をいちはやくこなす。そういう肉体の習慣を持っている人が一番病なんです。(略)だから学界でも論壇でも、そのときの動向で一番をとれるような、細かい仕事しか出てこない。
 いったんこの一番病の学校システムができると、知識人の集団転向なんて現象は、当然出てきます。転向したことを意識していない転向なんだから。つねに一番でいたいと思っているだけなんだ。

 その鋭い舌鋒は右、左を問わず一刀両断だ。
 
社会党とか共産党の連中が、いろいろいるじゃないの。それは吉田茂ほど頼りになる奴じゃないと思っていたんだ。いざとなれば、反対側の旗を振っちゃう奴らだっていう。(略)あまり日本の進歩勢力というものを、信じていなかった。戦争中に、あれほど崩れるとは思っていなかったから。
 
 もう赤尾敏とか、笹川良一とか、みんな(追放解除)申請書を書いているんだよ。だいたいは、私は昔から民主主義者だ、追放解除してほしい、そういうものだよね。自分の正当さをしゃんと書いてくるような人は、非常に少なかった。方向は違うけど、昭和4年から8年くらいの、インテリ左翼の転向調書とおなじ調子だ。右翼なんて当てにならないよ、まったく。

 だが、繰り返すが鶴見の依って立つ「基準」は極めてシンプルだ。「ヤクザの仁義」を重んじ、起用で世渡り上手な優等生や一番病と対極にある「一刻者」を愛し、戦争を嫌い、特に「国家に引き出されて殺す立場になる」ことを嫌悪するー。
 引用の長い書評になってしまったが、最後に鶴見のこんな言葉を紹介したい。
 
あんまり固い、思いつめた姿勢じゃなくてね(笑)。軽率なのは愛すべきなんだけど、嘘は全部だめだとか、思いつめたのはよくないって(笑)。ほんとうに嘘のない状態に帰ろうなんて、現実には無理ですよ。やるなら自殺するしかない。

 この台詞、別に現実追認主義をとれという意味ではない。勝手な解釈を加えさせてもらえば、気負わず思いつめず、一方で「ヤクザの仁義」はきっちり守り、したたかに軽やかに、しかし骨太に状況へと向かい合えーーそんな意味と受け取った。一読に値する好著だ。(新曜社、2800円)
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by tikatusin | 2005-02-10 16:54 | 書評
2005年 02月 08日

書評=さすらい(赤川次郎)

c0062756_16113385.jpg 再びファシズムの闇に侵され始めた日本を追われ、北欧の寒村に身を潜める流行作家と周辺人物が紡ぎ出す近未来・暗黒ファンタジー(?)。

 もう随分前、赤川次郎が次々と作品を発表して若年女性層を中心に絶大な支持を受けていた頃、その軽い作風が各方面から批判と冷笑の的にもなっていたと記憶する。だが、あのころ何冊か赤川作品に目を通してみたが、軽い作品を軽く描き出すという流行作家の存在があまりに“軽く”論じられているような気がして仕方なかった。活字離れへの憂いが広がる昨今、少なくとも普段は活字に縁の薄い世代を活字の場に引き留めたという点でもっと評価されるべきではないかと強く思っていた。当時はただそれだけだったが。

 今回は「あの赤川次郎がこんな作品を」との書評を目にして手に取ってみたわけだが、近未来の日本を覆うファシズムの陰鬱という暗いテーマを扱いながら、やはりどこまでも「赤川ワールド」だ。とことんまで軽く、リアリティは極めて薄い。
 しかしそれでも、赤川次郎という作家がこうしたテーマに挑んだことは極めて興味深い。大人気の流行作家だっただけに、読み手を退屈させずに物語を終末まで持ち込む力も十分。一読の価値はある。あの赤川次郎がこんな一文をしたためたことを知る上でも。
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 中田が要求したのは、「国家への愛」を小説で書くことだった。
 教科書が、すでに「彼ら」の言うなりになって久しい。
 初めの内は、
 「教科書ぐらいは構わないじゃないか」
 と言い、入学式、卒業式だけでなく、学期の単なる始まりや終りにも「国旗・国歌」が押し付けられても、
 「たかが旗と歌だ」
 と、作家たちは肩をすくめた。
 一歩譲れば、百歩譲るのも楽になる。
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(新潮社、1300円)
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by tikatusin | 2005-02-08 16:53 | 書評
2005年 02月 04日

クサレ幹事長

 仕事の都合で少し前の新聞をチェックしていたのだが、いやはや呆れかえった。まあ想像はしていたから心底呆れかえったわけではないけれど、やっぱり大馬鹿なのだなぁと再確認した。自民党幹事長の武部勤だ。
 古い話で恐縮だが、日経新聞の昨年12月10日付朝刊などにこんな記事が載っていた、武部幹事長が同月9日、「若者教育論」を語る講演でこんなことを言ったんだとか。

 「一度自衛隊に入って、サマワみたいなところに行って、緊張感を持って地元の人々に感謝されながら活動してみれば3カ月くらいで瞬く間に変わると思う」

 あ〜あ、ホンマものの馬鹿である。そもそもサマワで自衛隊が本当に感謝されてんのかは別として、要は精神を鍛え直すために若者は軍隊に行けっていう話。こういう輩に限って自分の息子などは絶対に危険地帯に送らない。というより、本当に「瞬く間に変わる」なら、まずはお前が行け、サマワに。そうすればこんな薄っぺらい薄っぺらい精神論にもならぬような堕論を偉そうに語る精神構造が瞬く間に変わるだろう。

 もっとも、そのためには本当に地元の役にたっているかどうか分からぬような自衛隊激励などと称した「見学」などに行くのではなく、米軍の無謀無体な攻撃によって治安も社会も滅茶苦茶に破壊され、市民が地獄の底で苦しんでいるイラクの生の姿を見なければならないだろうが。無理だな、クサレ幹事長には。
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by tikatusin | 2005-02-04 16:51 | 罵詈讒謗
2005年 02月 03日

書評=CO・ケースオフィサー(麻生幾)

c0062756_16123520.jpg 日本を狙うイスラム原理主義勢力による「細菌テロ」を防ぐため、日本警察の「テロハンター」が世界を駆けめぐるーーという、いかにも「麻生幾ワールド」(笑)な長編小説。
 フィクション、ノンフィクションを問わず常に権力側寄りの視点に立ってきた同氏に関しては、その誇大妄想気味の「危機管理ヒステリー」が権力に都合良く利用されるのだろうなとは想像してきたが、本書もやはり同様。「国際テロと戦う孤高の男を描く」との宣伝文句にある通り、良く言っても一昔前のハードボイルド風というか、率直に言えば「自慰史観」好きな阿呆どもが好みそうな薄っぺらい人間像の描き方も従来通り。とはいえ、週刊誌記者時代からの調査能力と筆力には確かなものがあり、読み物としてはこれまでの作品は一定レベルを維持してきた感もあった。
 だが、そうした面でも本書には失望を覚えざるを得なかった。上下巻で計600ページを超えるボリュームだが、気持ちよくストーリーを追えたのは上巻の3分の2程度まで。その後はストーリー展開も構成も稚拙、散漫で、我慢しつつ読み進めたものの下巻などは読み飛ばしてしまいたい衝動に何度も駆られた。
 ストーリー展開の混乱は同氏初の新聞連載(サンケイ新聞)の影響もあるだろうが、いっそのこと大幅なリライトを施すべきだったのではないか。新聞と週刊誌での連載を同じレベルでは語れないだろうが、「サンデー毎日」での初連載で「レディ・ジョーカー」という名作を生み出した高村薫氏などと比べると、やはり役者が違う印象だ。いや、麻生氏と高村氏を比べるなど、高村氏に失礼か(笑)。(産経新聞社、上下巻とも1680円)
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by tikatusin | 2005-02-03 16:49 | 書評
2005年 02月 02日

韓国の戸籍制度

 韓国では最近、日本が植民地統治していた時代に皇民化政策に沿って改変した戸籍制廃止に向けた動きが加速している。
 何かと韓国内の「反日運動」が日本では話題となるが、今回の動きは「反日」とは無関係。背後にあるのは韓国内での急速な人権意識の高まりで、戸籍制が人権侵害と男女差別の温床になっているとの至極当然の訴えが日の目を見つつあるのだ。正直なところ、これが実現すれば日本などよりずっと先進的な制度が韓国に生まれることになりそうだ。

 韓国の戸籍制は、日本では戦後の民法改正で廃止された「戸主制」が今も残されている。もともと夫婦別姓の韓国では日本のような「別姓論議」は起きていないが、一家を代表する戸主は男性の継承が優先されて権限も強い。子供の姓は父方のものを強制されるなど性差別的な要素が色濃く、人権や男女平等意識の高まりを背景に、女性団体や人権団体は新制度の創設を訴えてきた。

 「保革」が緊張を続ける政界でも、与野党が戸主制廃止では一致。国会の小委員会で民法改正には基本合意し、昨年十二月には国会の半数を超える与野党の男性議員百五十二人が廃止を求める声明を出したのに続き、韓国で戸籍制を統括する立場にある大法院(最高裁)も1月、戸主制廃止に伴う「代案」を提示した。
 この代案を簡単に紹介すれば、国民一人ずつに身分登録簿を作成し、本人のほか両親と配偶者、子供を記載するというもの。いわば「一人一籍制度」案といえ、日本の民法や戸籍専門家によれば、事実上の戸籍廃止といえる内容で、実現すれば日本よりずっと先進的な制度になる。一部には「家族事項記載はプライバシー侵害や差別の温床になる」との不満も残っているようだが、子供が母方の姓を選択することも可能となり、市民団体なども「全体的に納得できる内容」と歓迎ムードだ。

 何故か韓国新聞界では圧倒的主流として幅をきかす超保守新聞の代表格、朝鮮日報などは「伝統的な家族概念を急激に変化させない別の案を」と大法院案に懐疑的だが、同じ保守でも穏健保守系の中央日報は「大法院案は両性平等という時代精神に比較的忠実」と評価している。さらに法務部も最近になって大法院案と同じ骨格の代案を示しており、順調に行けば2月に国会で民法改正が実現する見通しが高まっている。

 戸籍性の問題点はさまざま指摘されているが、韓国の最近の動きを見ていると、「選択的夫婦別姓案」ですら「家族の崩壊につながる」などと妄言を吐いて受け入れないトンデモ保守政治家が跋扈する日本に比べれば、よほど人権意識においても韓国の方が真っ当か分かるというものだろう。
 だいたい、「夫婦別姓は家族崩壊につながる」などと吠えるアホ政治家に限って子供はボンボン不良のクサレ外道なんていうケースが多い。「鮫の脳みそ」こと、我らが前首相とかね。お前の家の崩壊を先に心配しろ!、と思わず突っ込みたくなるほど(笑)。こんな連中が「愛国心を強調した教育基本法の制定を」なんて叫び、「教育族」などと呼ばれて跋扈しているのだから泣きたくなる。
 話はそれたが、植民地支配の名残ともいえる戸籍制を捨て去り、日本より個人の尊厳を重視した制度を目指す韓国の動きは当面、要注目である。
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by tikatusin | 2005-02-02 16:48 | KOREA
2005年 02月 02日

書評=夜空のむこう(香納諒一)

c0062756_16134819.jpg 漫画編集出身で作家志望のフリー編集者、若き女性ライター、新聞記者出身の硬派ライター、大手出版の編集者、新宿ゴールデン街のママ……。こんな登場人物が紡ぎ出す人間模様を描いた、いわば「出版界の青春ストーリー」。収められた12話がそれぞれ読み切り風になっており、同じキャスティングによる1話完結の連続ドラマを見ているような趣の1冊だ。
 厚めの1冊だが、最後まで飽きさせないのだから筆力と構成力は確かなのだろう。著者の香納諒一は1963年生まれの気鋭。だが、どことなく食い足りなさは残る。
 出版界の矛盾や葛藤、問題点を描きながらも、それはどこまでも表層的だ。矛盾を乗り越えようともがき、時に克服したり、時に服従したりする若き登場人物達の振る舞いや行動様式、思考回路も、どこまでも表層的。出版界を舞台にした青春小説に過ぎないといえばそれまでだが、やはりどこか食い足りなさが残った。
 休日にコーヒーでも飲みながら軽いタッチの読み物を楽しみたいと思うならお薦め。それにしても、ゴールデン街やら編プロやら、あくまで「業界的」な舞台回しは、出版界と無関係な人々も共感と興味をそそられるのだろうか。入社したての出版社社員や出版界に憧れる学生が「そうそう、そうなのよね〜」ってな感じで喜びそうな1冊ではある。(集英社、2310円)
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by tikatusin | 2005-02-02 16:44 | 書評