地下通信 [chika-tsûshin]

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2005年 01月 28日

メディアと政治家

 外国に暮らしているため、日本のテレビはNHKしか見ることができない。もちろん最近のNHKの番組や報道ぶりが素晴らしいなどと思ったことはないが(数日前に記したような番組は別として)、それでも時にはチャンネルをNHKに合わせ、画面をつらつらと眺め、必要最小限の日本の情報を仕入れ、それで特に不自由や不満も感じていなかった。
 しかし、ここ暫くのNHKの報道ぶりは余りに酷く、見ていて目眩すら覚える。心の底から日本の他の民放テレビニュースにチャンネルを合わせたくなる。もっと「客観的な情報」を知らせろと、画面に向かって罵りたくなる。そう、朝日新聞が報じて問題化している「番組改変疑惑」に関するニュースである。

 安倍晋三・自民党議員らの圧力によって番組内容が改変されたー。そんな粗筋の疑惑をめぐるNHK報道は、端的に言えば、あまりに下品で、品性の欠片すらなくて、まさに最低最悪である。下品といって語弊があるのなら、よくもここまで恥知らずに自らの「ニュース」番組を悪食のように利用し尽くせるものだとすら思える。

 NHKニュースの「顔」ともいえる7時のニュースや10時のニュースでも、この問題を扱う項目ではひたすら自らの言い分と弁明を垂れ流すだけ。酷いのになるとNHK幹部の記者会見をダラダラと映し続け、最後には援護射撃のような安倍代議士らの自己弁明コメントをくっつけて一丁上がり。こんなものニュースとはいわぬ。これを「ニュース」と称するなら、それこそ「偏向報道」である。

 そもそもNHKは必死で“反論”しているが、安倍晋三氏のホームページ(http://newleader.s-abe.or.jp/)によれば、番組放映前にNHK幹部が安倍氏と面会し、当該番組について安倍氏が「公正中立の立場で報道すべきではないか」と指摘したのは事実だという。
 さらに安倍氏ホームページによれば、安倍氏側は「(番組が)主催者側の意図通りの報道をしようとしているとの心ある関係者からの情報が寄せられたため、(NHK幹部との面会の場で)事実関係を聴いた」「(番組が)明確に偏って内容であることが分かり」「公正中立の立場で報道すべき」と「指摘」したとまで明記しているのだ。(引用文は原文ママ、丸カッコ内は引用者注)
 これを「圧力」と言わずして何を圧力というのか。通常の神経の持ち主で、日本語を理解できる人間であるなら、こうした発言を「報道や番組に対する圧力」というのだ。

 また同ホームページは安倍氏とNHK幹部の面会について「NHK側から予算の説明後、自主的に番組内容に対する説明がなされた」とも記している。新聞報道などによれば、これについてNHK側は「(予算に国会承認が必要なため)事業計画の説明に付随して放送予定の番組を説明するのも業務」と開き直っているのだという。
 呵々、開いた口が塞がらぬとはまさにこのこと。メディアが報道内容を事前に政治家へ説明する?。それが業務?。馬鹿か。一体全体どこの世界のメディアの話なのか。安倍氏らが罵倒する「彼の国」のメディアと変わらぬではないか。馬鹿馬鹿しい。

 当該の番組が安倍氏の「圧力」によって実際に「改変」されたかどうかを判断する材料は持ち合わせていない。しかし、これだけは明白である。NHKという組織は番組内容を事前に政治家へと「説明」することを「業務」と認識している「メディア」であり、安倍とかいう人物は放映前の番組に関してメディア幹部に「中立公正な報道を」と言うことを「圧力」と思っていない政治家なのである。こんな組織が「公共放送」を名乗り、こんな政治家が「次期首相候補」に数えられている。世も末だ。(1/28)
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by tikatusin | 2005-01-28 16:43 | メディア
2005年 01月 26日

哀しき日本

 何か日々鬱屈ばかりを発しているが、やはり今日も発せざるを得ない。東京都が外国人の管理職試験の受験を拒否した措置をめぐる最高裁判決のことである。
 報道によれば、判決は「合憲」。最高裁が東京都の判断にお墨付きを与えたのだ。アホである。クズである。もうどうしようもないほどのクサレ判決である。
 ここで外国人の地方参政権などといった“高尚”な議論にまでは立ち入らない。しかし、今回の事案のように特別永住者にすら、たかが(あえて「たかが」と言う)地方公務員の管理職の門戸を閉ざすというのは、前近代的という以上に在日韓国・朝鮮人が抱えてきた歴史への無知蒙昧、歴史に翻弄されてきた人々への想像力と思いやりが徹頭徹尾欠けた判断というほかはない。
 寡聞にして知らなかったが、原告の鄭香均さんは韓国人の父と日本人の母を持つという。日本で生まれ、育ち、貧困の中で大学進学を断念したものの「白衣の天使なら国籍は関係ない」との思いから看護師になったという。彼女の「日本」への思い、「故郷」「祖国」への思いを想像すれば胸が痛む。なぜ彼女は「韓国人」なのか。なぜ「日本で生まれ、育った」のか…………。
 鄭さんは判決後、真っ赤な目をしてこう言ったという。
 「幼稚な判決にあきれ果てた。植民地や戦後処理の問題に正面から取り組もうとしない日本の姿勢があらためてはっきりした。歴史も振り返らずに、国際貢献などできるはずがない。日本は哀れな国だ」
 歴史も振り返らずに、国際貢献などできるはずがないー。その言葉、よく耳を開いて聞け、アホどもよ。(1/26)
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by tikatusin | 2005-01-26 16:42 | KOREA
2005年 01月 25日

畜生道の日本

 NHK・BS1で「米メディアのイラク戦争報道」なるドキュメンタリーを見る。「エビジョンイル」こと海老沢会長率いるNHKに何の尊敬心も感傷の欠片すらもないが、この番組はなかなか唸らせる内容だった。もっとも番組自体はNHKの制作ではなく、「グローバルビジョン」なる米国の制作会社の作品だったが、それでもこうした番組を翻訳放送しようとするあたりに、NHK内部に“ゲリラ的”良心派がいることの証左を感じたりもした。
 そんな番組の粗筋をざっとなぞれば、ブッシュ米政権に巧みなメディア操作に操られてイラク戦争の“正当性”を煽る米メディア…というより、自ら進んで提灯持ちに成り下がり、ひたすら扇情的にインチキ情報に食いつき、垂れ流し、誤報を誤報とも思わずプロパガンダ機関に堕していく大手米メディアの現実を切れ味良くえぐり取るといった内容だった。
 FOXテレビを筆頭とし、CNNや3大ネットワークはもちろん、大手紙などがいかにしてペンタゴンの御用機関としてデタラメ報道を繰り広げたか、影すら見えない大量破壊兵器は一体全体どこにいったのか、辛うじて戦争の“大義”として持ち出そうとしている“民主化”なるものの虚無性をどう捉えるべきなのか、戦争の実相を伝えぬまま“戦術論”を中心とした戦争ショーの伝達に血眼となり、ペンタゴンの情報操作にいかに乗ったのか、米国をはじめ日本などのメディアがどれほど虚構に踊らされ、自ら踊って恥じないのか…を小気味良いほどにテンポ良く切り取り、ストレートに視聴者に突きつける内容だった。
 それでも……、と思ってしまうのは、ブッシュ米政権と米メディアに絶望しつつも、「それでも」これだけの番組を片隅でも制作できる米メディアの“力”である。
 もちろんこれが免罪符になるなどとは微塵も思わないが、同じ時代状況で、同じような戦争的熱狂という社会的圧力の下に置かれたとき、我が日本メディアの内部から、これほどの番組を作る「骨太」なジャーナリズムが、果たして欠片でも出現するのだろうか。
 番組にはBBCの会長が現れて言い訳紛れの「反省の弁」を述べたのをはじめ、各メディアの一線ジャーナリストが当然のごとくにモザイクすらかけないまま画面上に姿をさらし、時に自己弁明に励み、時に率直に自らのミステイクを認めた。日本だったら…などと考えれば絶望的になるしかない。おそらくは公然と取材に応じるメディア記者はほとんど存在せず、番組自体が成立しないであろう。というより、こんな番組をメジャー媒体で制作しようという動きすら起きないのではないだろうか。
 ほんの欠片とはいえ「良心」を示した米メディアのドキュメントを眺めつつ、畜生道の日本を思う。(1/25)
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by tikatusin | 2005-01-25 16:40 | メディア
2005年 01月 18日

傲慢な公僕

 下記の外交文書の件で日本の外務省に電話。日本では日韓国交正常化交渉に関する外交文書を基本的に非公開としており、その理由や現状を尋ねるのが目的だったが、あまりの高慢ぶりに絶句した。

 日本政府は30年を過ぎた外交文書は原則的に公開し、外交的波紋などが憂慮される場合に限り非公開措置を取っていると認識していた(実際には「外交的波紋」という理屈を悪用して非公開範囲を必死に広げているのが実態なのだろうが、とりあえずここでは触れない)が、担当者はこの認識を一笑に付した上でこう言った。

 「外交文書を30年で公開しなければいけないなどという義務はどこにもない。むしろ30年を過ぎたものに関して我々が自主的に公開しているのだ」

 要するに、こう言いたいらしい。「義務もないものを公開してさしあげてるのだ。非公開などという批判をするのは的外れで、勘違いしないでほしい」。こいつ、アホだろうか。率直に言って韓国政府の公開措置に比べ日本政府の文書非公開姿勢は時代に逆行しているのではないかと思っていたが、外務省担当者の傲慢な認識は時代に逆行などというレベルを遙かに超えている。

 かつて外務省に勤務した経験を持つ知人と話したら、知人曰く「あの役所はとにかく何でも秘密にしちゃうから。外国の新聞を翻訳しただけのものまで取り扱い注意指定にするくらいだからね。体質だよ、体質」とのこと。まったく暗然とするしかない。

 そう、もはや日本より韓国の方が先進国なのだ。少なくとも情報公開や国民の知る権利に応えるという「公僕」の意識と実践に向けた意思の上で。(1/18)
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by tikatusin | 2005-01-18 16:37 | KOREA
2005年 01月 17日

外交文書

 ここ数日間、仕事の都合で古めかしい外交文書の山に埋もれていた。1965年、日本と韓国が国交を正常化するに至った外交交渉に関する韓国側文書である。韓国政府が40年ぶりに秘密指定を解除して公開されたのは対日請求権をめぐる部分で、全体から見れば膨大な文書のごく一部に過ぎないが、それでも総数は1200ページに上る。当たり前ながら文書のほとんどはハングル。文字が潰れたりしている部分も多く、判読作業は困難を極めた。

 内容は既に各メディアでも報じられた通りだが、隅々まで目を通して浮かび上がった事実は極めてシンプルなものだった。日本の植民地支配によって被った個人の被害に関し、交渉に当たった日本政府当局者はもちろん、韓国側当局者にも人道的配慮を図ろうという気配など全くないことだ。一貫して、どこにも、まったく、見事にない。失礼な話だが、読んでいて苦笑してしまうほどだ。

 交渉に臨む日本の態度にはどこか余裕すら感じられる。一方の韓国は必死だ。そこにつけ込むかのように植民地支配に伴う個人財産や被害補償などの対日請求権を徹底的に消滅させようと狙う日本。これに対し朴正煕が軍事クーデターで政権を奪取した韓国は、経済開発計画に投入するため日本の援助資金を一刻も早く手にしようと躍起になっていた様子が鮮やかに浮かび上がる。

 結局、請求権は5億ドルの経済協力と引き替えに「完全かつ最終的に解決」されたことになったのは周知の通り。
 交渉の中で経済協力は請求権の対価だと訴える韓国に対し、日本はあくまでも純粋な経済協力だと反駁するという「原則論」の応酬があるにはあったが、文書のどこをひっくり返しても被害者への謝罪や配慮、植民地支配への回顧の言葉はなく、韓国側も被害補償は「われわれがやるから気にするな」と言わんばかりの姿勢に終始していた。

 もちろん当時の朴正煕政権は日本から引き出した資金を元にして経済発展の基礎を築き上げ、今の韓国の繁栄はその延長線上にあることも事実だろう。しかし、そんな建前を振りかざしても被害者たちは納得しない。個を踏みつぶして顧みることすらない国家の冷徹に慄然とする。

 被害者団体はこれまで日本政府の責任を求めて日本で提訴し、敗訴を続けてきた。今回の文書により日本政府の責任を問う声が弱まることはないだろうが、韓国政府への批判が高まるのは間違いない。被害者団体からは「日韓の権力者の野合による請求権の封殺だ」との声明が出されたが、まさに至言だろう。(1/17)
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by tikatusin | 2005-01-17 16:29