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地下通信 [chika-tsûshin]

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2005年 09月 18日

スパイ防止法

 民主党の新代表は前原誠司だそうである。日本政治への絶望感はひたすら増すばかり。この国はホントにどこへ行くのか。

 メディアでは前原を民主党「次の内閣」で防衛庁長官などを務めた「外交・安保通」などと紹介しているが、松下政経塾出身のこの男、周知の通りの憲法9条を柱としたゴリゴリの改憲派であるとともに自民党も真っ青のタカ派である。自民、公明、民主各党の国防族議員で構成され、集団的自衛権の行使の容認などを主張して99年に発足した「安全保障議員協議会」の常任理事も務め、有事法制でも自民党内タカ派と緊密に連携して成立に大きく貢献したとされる。もはや自民党タカ派と同種というか、いわば「ネオコン」といってもよいほどの思想の持ち主だ。
 例えば今年5月5日、ヘリテージ財団がワシントンで開いたシンポジウムに招かれて「基調講演」した前原はこんなことを言い放っている。ごく一部のみ抜粋すれば--

▽日米同盟は大変重要でミサイル防衛にも賛成
▽周辺事態における(日米)共同対処を行う
▽(日米安保条約)6条の極東は古い定義。政府見解をアジア太平洋地域の安全と安定のた
 めに再定義することが必要
▽自国の防衛のみに力を注ぐということから大きく一歩も二歩も踏み出すことが必要
▽情報収集能力を強化。省庁横断的な情報収集機関をつくるべき
▽機密保持体制の強化が必要。公務員の機密保持の罰則が極めて緩い。体制の整備と強
 化が必要
▽武器輸出三原則の見直し必要

 いやはや、要は米軍と一体化した自衛隊の運用を一層推し進め、海外派兵の範囲を大幅に押し広げ、ただでさえなし崩しにされつつある武器輸出三原則を撤廃し、国内的には強力な情報機関をつくり、挙げ句の果てに「機密保持の強化」が必要というのである。ぶっちゃけていえば、「スパイ防止法」なども制定すべきだということなのだろう。もうひたすらゲンナリ・・。
 さらに前原が今回、党の政調会長へと「大抜擢」した松本剛明なる人物は前原と似たような思想の持ち主。父親も防衛庁長官などを務めており、東大〜興銀〜父親の秘書から政界入りという生粋のボンボン政治家。先のシンポジウムに揃って参加した松本について、前原は「お父様は防衛庁長官を経験され、曾お祖父さんは初代総理大臣・伊藤博文さんという素晴らしい家系の方」などと絶賛して紹介している(笑)。これもゲンナリ・・・・・。
 つまり、「2大政党」の片方のトップは「アジア軽視の靖国マニア」、もう片方のトップは「スパイ防止法推進派」だというのだから日本の政治はオシマイというしかない。

 ところで先の衆院選、コイズミ自民党が300の小選挙区で219議席を獲得するという圧勝を収めたが、小選挙区全体での自民党の得票率は47・8%。同1・4%の公明党を合わせても与党の得票率は49・2%。これに対し民主党は36・4%。共産(7・3%)と社民(1・5%)を合わせれば45・2%。国民新党や新党日本まで含めると与党との差は2%にも満たないのだとか。
 こうして見ると、選挙結果に現れた議席数よりは日本の有権者が「マトモ」な判断を下していたとも言えなくもない(それでも「マトモ」とは言いたくないが=笑)。にもかかわらず与党が比例も合わせ3分の2も占める「大勝利」を収めてしまったのだから、小選挙区制とは民意を反映しない恐るべきサイアクの選挙制度というしかない。
 それはともかく、今回の選挙で「岡田・民主党」へ票を投じた有権者(小選挙区なら36・4%)が、次回は果たして「前原・民主党」に投票するか。コイズミ自民党とさほど変わらぬ「タカ」で「ネオコン」な前原が代表を務める民主党などを果たして支持するのだろうか。だったら別に自民党でいいじゃない!、と思うのがフツウじゃないのだろうか。
 まあいわば菅直人や岡田克也でオブラートに包んできた民主党だったが、政策的には自民党の補完物でしかないという化けの皮が剥がれたともいえるのだろう。「前原・民主党」の誕生はむしろ、民主党崩壊を加速させる結果をもたらすかもしれない。

 にしても、小選挙区制下で自民と民主以外には共産党候補しかいないという選挙区は多いと思うが、こうした選挙区で真っ当な有権者はどこに投票すればいいのか。死に票覚悟で共産に入れるのか、でなければ「靖国マニア」か「スパイ防止法」か・・。まさにサイアクだ。

by tikatusin | 2005-09-18 20:22 | 罵詈讒謗


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